NHK「プロフェショナル仕事の流儀〜ワンちゃんスペシャル」の再放送を拝見しました。
ご出演された中村訓練士のエピソードが素晴らしかったです。
中村訓練士は、飼い主を噛んでしまったり問題行動を起こしてしまう犬を預かり、更生させるための訓練を専門にされています。
もはや殺処分に回すしかない、と判断された犬が集まってくるため、中村さんの訓練所はいつも危険と隣り合わせ。
ですが、その生命を守るため、中村さんは「覚悟」をもって彼らに全身全霊で向かい合います。
「叱る」ということは、本能を抑えることを覚えさせるための重要な訓練なのだそうです。
本能を抑えることが出来ない子が、暴走して問題行動を起こしてしまう。
問題行動の先に待っているのは、「殺処分」です。
その子の生命を守るためにも、本能を抑え、我慢することを徹底的に覚えこませなければなりません。
そのためには、厳しく接することがとても大切なのです。
でして、きちんと出来た時には「褒める」。
「叱るだけ」ではいけない。
「褒めるだけ」でもいけない。
両極端な偏った訓練を受けたために、人とコミュニケーションを取ることが出来なくなってしまった子もいるのだそう。
「叱る」と「褒める」のバランスが、人と彼らとの信頼を生むのだそうです。
彼らを叱っている時、中村さんはひるみません。
側から見ていると、ドキドキしてしまうくらいの厳しさです。
身体で覚えさせるため、世間からの批判を承知の上で、彼らを叩いたりもします。
中村さん自身も彼らに噛まれたりもします。
ですが動物界では、弱いものはすぐ見下されてしまうため、中村さんは噛まれても、血を流しながら彼らに厳しく向き合い続けます。
ちょっと吠えたり叫んだりすれば自分の意思が通ると分かると、彼らは些細なことでも反抗してきてしまうのです。
それは無駄なことだと、徹底的に覚えこませます。
長い時間をかけると、少しずつではありますが、彼らは変わっていきます。
そして、飼い主との「再会」が待っています。
飼い主さんと彼らの嬉しそうな顔。
その時、中村さんが彼らに注ぎ込んだ全ての時間が報われるんだなぁと思うと涙が出ました。
「愛のある厳しさ」というものは、人格形成においてもとても重要ではないかと思うのです。
覚悟を持って真正面から私たちに接してくださる眞理子師匠に、私は心から感謝しております。
こんな未熟な私でも「人様を指導する」という立場にありますので、中村さんの覚悟から学ぶことがとても多かったです。
NHKに感謝した夜でした。
まり草