すみません。
変なお話をします。
ホッキョクキツネの《ゆき》が我が家にやってまいりました。
ゆきとの出逢いは、夢の中でした。
私は、ドライブをしていました。
助手席には男性が乗っていたと思います。
誰だったかな。うろ覚えです。
とにかく、私とその人は山道をどんどん登って行きます。
時刻は、おそらく17時とか18時頃。
山の中がうっすらと暗くなり始めていました。
寒くもなく暑くもない日で、季節はよく分かりません。
九十九折の道はコンクリートでしっかりと舗装されていて、運転が楽だったのがとても印象的でした。
途中に、大きな駐車場がありました。
「ここに停めましょう」
と一度はそこに入りました。
ですが、気がつくと、またさっきの様に山道を登っているのです。
「私はどこに向かっているのかな」
よく分からなくて少し不安でした。
けれど、助手席に座っている男性は、とても安心しているご様子。
きっと二人で旅行でもしているのでしょう。
すると、目的地が近づいて来たようです。
そこにはまた、大きな駐車場がありました。
そして駐車場のすぐ側には、山の奥に続いていると思われる獣道がありました。
「あそこを歩いて行くのか・・・」
あたりはだいぶ暗くなっていましたので、私は少し不安になりました。
もちろん、道の先は見通すことが出来ません。
でもとにかく、私と一緒にいる男性は連れ立って歩き始めました。
しばらく森の中を行くと、場面がスッと変わりました。
私と男性、そして何人かのお客さんとで「何か」に乗っていました。
エレベーターでしょうか?
とにかくよく分からないのですが、「どこかにつながっている木の箱」みたいな乗り物に乗っていて、それが動いているのが分かります。
すると、先ほどよりも高い場所に連れてこられた様です。
ほのかに光を発しながら私の周りを虫が飛んでいました。
気がつくと、私は、白くて綺麗な狐さんを抱っこしていました。
「ふわふわで気持ちいい・・・」
私はその狐さんを、力を込めて、でも優しく、ぎゅーーっと抱きしめました。
その狐さんはとっても温かくて、柔らかくて・・・私はとてつもない安心感を覚えました。
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えも言われぬ幸福感に包まれたまま、私はお布団の中で目を覚ましました。
「あの狐さんに、また逢いたい」
そう思った私は、早速ネットを駆使し、あの可愛い狐さんを探しました。
雪の様に白くて、優しい狐(こ)。
こうして、私は再びゆきを抱きしめることが出来たのでした。
おしまい。
まり草